医学用語と食べ物のかかわり 血液編

医療従事者が病変の比喩に食べ物をよく用いることは周知のことだと思うが、そのような表現についてまとめていこうと思う。

海外のものについてはfood related medical termsとかでググればある程度ヒットするのだが(今まで英語で検索するのを怠っていた)、日本でこういった語がまとめられている場所は見つけることはできなかった。先例があるのなら教えてほしい。

ここでは血液に関するものについて書く。実際に使用されていることはGoogleで検索するなどすれば知られるので出典などは基本的に明示しないが、網羅的に調べるにあたっては『病気がみえる vol.5』第2版などを参考にしている。題にそぐわないように思われるものもこれに載っているものは便宜上ここに書く。いずれ整理する。

 

 

血餅/blood clot

フィブリノーゲンと血球が固まったもの。採取した血液を放置していると血清から分離するかたちで生じる。

このclotという語は餅を意味するわけではなく、液体の一部が凝集すること、ないし凝集したものを指す。イギリスには牛乳を煮詰めて作るクロテッドクリームという伝統的な食品があるが、やはりあちらの人は字面や外見からこれを想起するのだろうか。

 

リンゴ病/slapped cheek syndrome

正式名称は伝染性紅斑/erythema infectosumだが、蝶形紅斑を生じることからリンゴ病とも呼ばれる。ヒトパルボウイルスB19の感染によって赤芽球の前駆細胞が障害され、蝶形紅斑や大理石紋様の発疹などを生じる。

 

ポップコーン細胞/popcorn cell

結節性リンパ球優位型のHodgekinリンパ腫で見られる。結節の中に存在する大型の細胞であり、多分葉状の核がポップコーンめいて見えることからこう呼ばれる。

 

ソーセージ様/sausage-shaped

原発性マクログロブリン血症で見られる眼底網膜静脈の所見。IgMの過剰な産生によって過粘稠度症候群を生じ、この症状の一つとして網膜静脈が怒張する。

眼底網膜静脈に限らず、sausage-link appearanceやsausage-string appearanceといった表現自体は膨張した血管・腺に対して用いられているらしい。

 

チョコレート様(茶)褐色調/chocolate-brown colored

メトヘモグロビン血症において血液の形容に用いられる。ヘモグロビンのFeが医薬品などのために酸化され、酸素結合能を失うとともに色調が茶褐色に変化する。

 

 

以上の内容は予告なしに編集・追記されることがある。というより後から追記することを前提として書いている。あまり他人に見せられる状態ではないのだがどうしようもないものはどうしようもない。何かあれば教えてほしい。